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30代、40代のビジネスパーソンを中心に、糖尿病や高血圧、メタボ、皮膚トラブルなどについて専門家に解説をしてもらう連載。
この季節は「カゼでお腹を壊している」という話をよく耳にします。 ところがこれはいわゆる「カゼ」ではなく、「感染性胃腸炎」だと、知っていましたか? 東邦大学医学部微生物・感染症学講座助教原田壮平先生に「感染性胃腸炎」を解説してもらいます。(nikkei TREN DYnet)

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「お腹のカゼ」、感染性胃腸炎の病原体の一つには腸管出血性大腸菌も!


「今朝から微熱があって、お腹も下していて、何回もトイレに行っているんですよ…」


冬場はこのような「お腹のカゼ」の症状で病院を受診する人が多くなります。
正確には「カゼ」は鼻、のど、咳などの呼吸器系の症状を主体とする感染症に対して用いられる用語で、いわゆる「お腹のカゼ」は「感染性胃腸炎」と呼ばれます。


2011年には生肉の食事が原因となった腸管出血性大腸菌の感染症の集団発生事例(厚生労働省・関連情報)が大きく報道されましたが、この腸管出血性大腸菌も感染性胃腸炎を起こす病原体の一つです。


今回は「感染性胃腸炎」について日常生活や食事との関連、かかったときの対応、代表的な病原体の特徴などを中心に解説します。


Q1 感染性胃腸炎ってどんな病気? どんな人がどうやってなるの?

熱とともに吐き気・嘔吐、下痢、腹痛などが始まるというのが感染性胃腸炎を疑わせる症状です。感染性胃腸炎は「感 染性」の名が示す通り、胃腸に病気を起 こす性質を持ったウイルスや細菌に感染 することにより発症します。

これらの病原体は、食事を介してヒト の体内に入ることが多いのですが、すでに感染している人の便や吐物に含まれている病原体が、本人の手や生活環境を介して周りの人の手に付着し、それを口に 入れてしまうことでヒトからヒトへと感染する場合もあります。
特に後述するノロウイルスやロタウイルスでは、これも重要な感染経路となります。

ほかに、珍しい例としては、ペットが持っている細菌が飼い主の手を介して口に入り、感染性胃腸炎や重症の感染症を起こすこともあります。
カメ、イグアナなどの爬虫(はちゅう)類はサルモネラという感染性胃腸炎の原因となる病原体を持っていることが多くあります。
実際に感染事例が国内でも報告されており、ペットに触れた後は十分に手を洗うように、厚労省からの注意喚起も出ています (厚生労働省・関連情報)。

レストランやパーティーなどで、病原体が付着した食べ物を多くの人が食べたり、最初に感染した人から周りの人へと感染が拡がるなどして、感染性胃腸炎が集団発生する場合があります。
集団発生の際に、保健所や地方衛生研究所などの公的機関が立ち入り調査を行ったという報道を耳にされたことがあると思いますが、これは原因となった食事を特定したり、感染拡大の経路などを解析したりし て、それ以上の患者の発生を食い止めるための対応です。

潜伏期間は1〜3日程度、毎年11〜3月頃に発生頻度上昇

病原体がヒトの体内に入ってから実際に症状が出るまでにはしばらく時間がかかり、これを潜伏期間と呼びます。
潜伏期間は病原体の種類や状況ごとに異なりますが多くの場合は1〜3日程度です。
よって感染性胃腸炎の発症の1〜3日以内に生肉(生焼けも含む)や生魚の食事をしていれば、その食事と発症との関連を疑いますが、実際は1例のみの発生ではきっかけとなった食事を特定するのはしばしば困難です。

※例外的に、細菌(黄色ブドウ球菌、セレウス菌など)が作る毒素によって起こる食中毒は、嘔吐や下痢(発熱はなし) の症状がきっかけとなった食事から6時間以内に起きますが24時間以内に特別な治療を必要とせずに治癒します。
指定された医療機関で、感染性胃腸炎の診断を受けた患者の数を週ごとに集計することで、国内の感染性胃腸炎の流行状況が確認されています。
国立感染症研究所の感染症情報センターのウェブサイトにはこの集計結果のグラフが示されており、毎 年11〜3月頃に発生頻度が高くなり、中でも12月頃にピークがみられています。
感染性胃腸炎の集団発生事例もこの時期に報告数が多くなります。

 なお、海外、特に亜熱帯・熱帯地域では、日本ではさほどみられないような病原体が感染性胃腸炎の原因として頻繁にみられます。
そのため、このような地域を旅行し帰国してから後に、特殊な病原体による感染性胃腸炎を発症する場合が あります。
そのような場合は、医療機関での検査や治療などの対応が変わり、時には専門医療機関の受診が必要な場合もあります。
熱や下痢で病院を受診する時には、最近3カ月間くらいの海外旅行の有無と旅行先についても担当医に伝えましょう。


Q2 感染性胃腸炎の原因となる病原体に はどんなものがある?

成人の感染性胃腸炎の原因となる病原体としてはウイルスではノロウイルスが、細菌ではサルモネラ、キャンピロバクター、腸管出血性大腸菌(O157など)、 腸炎ビブリオなどが比較的頻度が高いものです。
これらの他に小児の感染性胃腸炎ではロタウイルスというウイルスも重 要です。

原因となる病原体ごとに症状に多少の違いはあるのですが共通する症状も多く、症状だけで原因となった病原体を特定することはできません。
よって医師が必要と考えた場合は患者の便を採取し、培養検査を行って原因となった細菌を特定します。

 ロタウイルス以外のウイルスは、特殊な検査を行わなければ検出することができませんので、通常は検査の対象にはなりません。
一般には細菌による感染性胃腸炎の方が、ウイルスによるものよりも熱が高く、症状も強い傾向がありますので「比較的軽症であった場合」や「症状が重くて便培養の検査をしたけれど原因になる細菌が見つからなかった場合」にウイルスによるものだったと推測します。
実際には感染性胃腸炎のほとんどはウイルスによるものなので病院で検査を受けても原因となった細菌が判明するのは1割にも満ちません。


ここでいくつかの重要な原因病原体について解説します。


    【ノロウイルス】

ノロウイルスの名前はお聞きになったことがある人も多いと思います。
ノロウイルスは感染性胃腸炎の原因病原体の中でもっとも頻度の高いものの一つです。


1. 汚染されていた二枚貝を生あるいは十分に加熱調理せずに食べる

2. 食品調理者 (家庭内あるいは飲食店など)が感染している場合にその人の手を介して汚染さ れた食物を食べる

3. 感染者の糞便や吐物に手を触れてしまい、その手を口に持って行ってしまって感染する


この3経路がノロウイルスの主な感染経路ですが、吐物から舞い上がった、目に見えない小さなしぶきに含まれるウイルスを吸入して感染したと思われる事例も報告されています(ノロウイルスの感染経路・国立感染症研究所感染症情報セン ター)。


感染してから発症までの潜伏期間は1〜2日程度で、最初に吐き気・嘔吐が起こり、その後に腹痛、下痢、頭痛や筋肉痛などの全身の症状が続きます。
半分くらいの患者で発熱もみられます。
通常は特別な治療なしに2〜3日で治ります。


ノロウイルスは感染性胃腸炎を起こす病原体の中でも特に感染力が高く、集団発生が起きたり、家族内で感染が拡がったりする危険が高いと考えられます。
実際に2009年の日本での感染性胃腸炎の集団発生事例のうちの27.5%(患者数でいうと53.7%)はノロウイルスが原因でした(厚生労働省・ノロウイルスに関するQ&Aより)。
また、患者が一人発生したときに、家族内や密接な接触で新たに別の患者が発生する確率は30%以上にのぼります。


ノロウイルスはアルコール消毒では取り除きにくいのも厄介な点です。
家族内でのノロウイルスの拡がりを防ぐためには後に述べるような、感染性胃腸炎の療養の際の一般的な注意に加えて、患者の吐物や糞便の処理に際してはマスク、手袋、使い捨てエプロンを使用し、消毒に塩素系消毒薬を用いること、適切な換気を行うことが勧められています。
詳細は 厚生労働省の「ノロウイルスに関するQ&A」のウェブサイトのQ19をご参照ください。


     【ロタウイルス】

ロタウイルスは乳幼児の感染性胃腸炎の主な原因となり、毎年冬から春にかけて流行します。

 特別な治療なく自然に治りますが、特に生後3カ月から3歳までの間に感染すると嘔吐や下痢により脱水状態となって入院治療を要するような状況がしばしば生じます。
以前に秋田県で行われた調査に基づく試算では子供の15人に1人は5歳に なるまでにロタウイルスによる胃腸炎で入院すると予測されました(Nakagomi T et al. J Infect Dis 2005; 192: S106)。


2011年、日本でもロタウイルスの感染を予防するためのワクチンが使えるようになり、任意接種という形で希望者への接種が始まっています。


標準的には生後2カ月頃〜6カ月頃の期間に2〜3回飲むワクチン(ワクチンの製品により投与スケジュールが異なります)ですので、今後出産を予定されている場合は主治医にご相談ください。


【腸管出血性大腸菌(O157など)】

腸管出血性大腸菌は大腸菌という細菌の一種です。
大腸菌は名前の通りヒトの大腸内に存在するありふれた細菌で、腸の中にいても普通は病気を起こすことは ありません。
腸管出血性大腸菌は、腸炎を起こす能力を獲得した特殊な大腸菌を指します。


腸管出血性大腸菌の中では「O157」という名前のものが最も有名で、他にも「O 111」「O26」などが類似の病気を起こす場合があります。


 名前の通り、血が混じる下痢をきたす頻度が高いのが特徴で、発熱はみられない場合もしばしばあります。
よって熱がない場合でも、急に血が混じる下痢が始まった場合には、早急に病院を受診しましょう(この症状だけで腸管出血性大腸菌の感染症と断定はできませんので必要な検査をします)。


 腸管出血性大腸菌の感染症の最大の問題は発症者の約10%で下痢の発症から5〜 10日後頃に、溶血性尿毒症症候群や脳症という重大な合併症を起こすことで、時に後遺症を残したり死に至ったりする場合があります。


 O157は健康な牛の腸の中に10%程度の割合で存在しているので、販売前の準備の段階で牛肉にこの菌が付着する可能性があり、O157が付着した牛肉を、十分に火を通さずに食べると感染症が起きる危険があります。
また生野菜などのほかの食品も生産・流通過程などで牛などの排せつ物などで汚染されれば感染源となる 可能性があります。
日本では1996年の大阪府堺市などでのO157感染症の大規模集団発生事例などを背景に、O157感染症の発生を防ぐための食品の生産、流通過程における多面的な対策を行っています( 厚生労働省・腸管出血性大腸菌Q&Aより)。
それでもなお生肉に腸管出血性大腸 菌が付着している可能性は0ではありませんので、腸管出血性大腸菌の感染症の後に合併症を起こしやすいと報告されている、10歳未満の小児や体力の低下している高齢者、持病のある人、妊婦などは、生肉や生焼けの肉を食べることに関しては、特に慎重に考えるのが良いと考えています。


 O157もノロウイルスと同様に感染力が高いためにヒトからヒトへの二次感染が起こり得ます。
感染した場合には本人や同居家族は普段以上に入念な手洗いを心がけてください(厚生労働省・腸管出血性大腸菌Q&Aより)。


 2011年、ドイツやその他のヨーロッパの国々で、O104という型の腸管出血性大腸菌による感染症の大規模な集団発生が見られました。
O104による感染症は先に述べた重大な合併症の発症率が約25%と高く、原因となった食材も当初は不明であったために現地では大きな波紋を呼びましたが、調査の結果ドイツ産の新芽野菜が原因食材であったと確認されました (Frank C et al. N Engl J Med 2011; 365: 1 771, Buchholz U et al. N Engl J Med 2011; 365: 1763)。


 今回のO104の集団発生は日本では問題をもたらさなかったものの、人の移動や物品の流通が世界規模で行われている現代において、日本に住む人もこのような海外で発生した感染症の集団発生に巻き込まれる可能性は常にあります。


Q3 感染性胃腸炎になった時は病院で治療を受けた方がいい?

感染性胃腸炎で最も気をつけなくてはならないこと⇒ 嘔吐や下痢を繰り返した結果、脱水状態になること感染性胃腸炎の治療⇒ 脱水にならないための水分補給(必要な場合は薬を使う時もある) 医師が感染性胃腸炎の患者を診るときに最も心配していることは、嘔吐や下痢がひどいために、脱水状態に陥って体調を崩してしまうことです。


 開発途上国ではいまだに多くの人が感染性胃腸炎で命を落としていますが、これは脱水の時の水分の補給が不十分なことが主な原因です。
日本では感染性胃腸炎による脱水で命を落とすことはまれですが、適切に治療しないと、特に乳幼児や高齢者などは大きく体調を崩す可能性があります。
逆に言うと、家で十分に水分を取って脱水を防ぐことができるなら ば、病院で治療を受ける必要性はさほど高くありません。


 脱水症状が強い場合は点滴による水分補給が必要な場合もありますし、重症の場合は数日間入院での水分補給が必要な場合もありますので病院の受診が勧められます。
特に乳幼児や高齢者は脱水がひどくなりやすいので注意してください。 「尿の回数・量が目立って減る」「口やのどがひどく渇く」「立ち上がった時にふらつく」などが重症の脱水を疑う症状です。
嘔吐がひどくて水分摂取が困難な場合は結果的に脱水に陥る可能性が高いので要注意です。


 また、脱水症状がひどくない場合でも、便や吐物に血が混じっていたり、下痢が3日間以上持続したり、強い腹痛がある場合、ぐったりした感じがとても強い場合は、細菌による重症の感染性胃腸炎の場合がありますので、受診が勧められます。
また、感染性胃腸炎以外の重症の感 染症や他の胃腸の病気で熱と下痢が出ることもあるので症状が重い場合はあなどらずに病院に行くことが重要です。
熱、嘔吐、下痢がある時に病院への受診を勧める状況38℃を超える高熱を伴う便や吐物に血が混じっている水が飲めないほどひどい嘔吐が続く尿の回数・量が目立って減る、口やのどがひどく渇く、立ち上がった時にふらつくなどの脱水症状がある下痢が3日間以上続く強い腹痛があるぐ ったりした感じが強い持病や治療薬の影響で免疫力が低下している腎臓病など内臓の大きな病気を持病に持っている※これら以外にも高齢者や乳幼児は脱水状態になりやすいので要注意外来で行う点滴に含まれている栄養の量は微々たるもの


 感染性胃腸炎の患者が受診したとき、 医師は「原因の病原体をつきとめるか? 」「治療をどうするか?」の2つを検討します。


 患者が重症である、あるいは感染性下痢症の集団発生が疑われるなど原因の病原体を突き止める意義が大きいと考えた場合には、患者さんの便を培養して病原体の検出を試みます。
便の培養検査は、 最終結果を得るまでに3〜4日以上を要します。
前述のように培養検査ではウイル スは検出できないので、検出対象はサルモネラ、キャンピロバクター、腸管出血性大腸菌などの細菌です。
重症の場合はさらに通常の血液検査や血液の培養検査も追加する場合もあります。


 治療は脱水を防ぐための塩分、糖分を含んだ水分の補給が主です。
可能な場合は家で口から水分しっかり取るように説明し、受診したときに脱水状態が強いと判断したときは点滴での水分補給を行う場合もあります。
点滴をすると栄養が補給されて治りが早くなるような気がしますが、あくまで口から水分が取れないときの水分補給の非常手段とお考えくださ い。
実際に病院の外来で行う点滴に含ま れている栄養の量は微々たるものです。


 感染性胃腸炎で抗生物質を使っての治療が必要になることはあまり多くはありません。「カゼ」の解説でも触れましたように、ウイルスが原因となっている病気に抗生物質はまったく効果がなく、そして感染性胃腸炎の原因病原体は、ほとんどの場合でウイルスだからです(そして感染性胃腸炎を起こすウイルスを退治する薬もありません)。
それどころか飲み薬の抗生物質の副作用として下痢になってかえって治りを遅くしてしまう場合すらあります。


   抗生物質を使用する状況としては

1. 最初に受診したときに脱水症状がひどいなど重症である

2. 新生児や高齢者など重症になりやすい患者である

3. 便培養検査の結果から細菌による感染性胃腸炎と判明して、なおかつ抗生物質での治療が必要と判断される(細菌による感染性胃 腸炎でも多くの場合で抗生物質による治療がなくとも治癒します)

4. 熱帯・亜熱帯地域への旅行後に発症していて特殊な病原体が想定される

場合などに限定されます。


 下痢止めを使用するかどうかは感染症胃腸炎の時は慎重に判断する必要があります。
下痢を止めることで原因となって いる病原体を体外に排出するのを遅らせてしまう可能性があり、さらに腸管出血性大腸菌が原因の場合には下痢止めを使用することで重症の合併症を併発する危険を高めうるといわれているからです(C imolai N et al. J Pediatr 1990; 116: 589) 。
医師や薬剤師に相談せずに家にある下痢止めを内服するのはやめましょう。


Q4 感染性胃腸炎になった時は、家でどのように過ごせばいい?

感染性胃腸炎になって家で療養しているときに気をつけること脱水状態にならないように水分、塩分、糖分を補給する栄養をその時にとれる方法でとっておく周りの人にうつさないようにする繰り返しになりますが、感染性胃腸炎で最も心配なのは脱水状態になることなので、それを避けるために水分、塩分、糖分を補 給して下さい。


 水分補給は口から飲むのが基本です。
「下痢がひどいときに水分をたくさん取ったらさらに下痢がひどくなるんじゃないか?」とよく聞かれますが、感染性胃腸炎になっていても、ほとんどの場合で腸の水分の吸収能力は保たれているので 、口から水分を取ることが治療の基本になります。


 口から取った水分を腸から吸収して体の中に保つためには、水と一緒に適度な塩分と糖分を取る必要があります。
真水やお茶だけでは塩分や糖分を含まないので不十分です。
軽症の時はスポーツドリンクを薄めて飲みつつ(そのまま飲むと糖分が濃いためにかえって下痢がひどくなる可能性があります。スポーツドリンクは推奨される組成よりも糖分が濃く、塩分が薄い)、塩つきのクラッカーを食べたり、スープを飲んだりして水分とと もにうまく塩分と糖分を補給してください。


 最近は薬局などで感染性胃腸炎の水分補給用に調整された飲料(経口補水液) も市販されているので症状が強い場合などはこのような製品もうまく利用すると良いでしょう。


 脱水状態を避けられたら次は栄養ですが、症状が強い最初の数日間は食欲も出ないことが多いので、スープ類や果物、おかゆ、うどんなどで少しずつでも栄養を取るようにして下さい(それでも点滴に含まれる栄養分よりははるかに多いです)。
感染性胃腸炎の療養中の食事には厳密な決まりはありませんが、脂肪分の多い食事は腸への負担が大きいので避けるようにしましょう。


  周囲にうつさないための過ごし方

療養中に家で他の人と一緒にいる場合はうつさないために気をつけましょう。
嘔吐や下痢がある間はそこに含まれている病原体が周りの人にうつってしまう可能性があります。
病原体が周りの人の手に付着してそれを口に含んでしまうとその人も感染してしまう恐れがあるので

1. 感染している人自身がよく手を洗う

2. 同居している人もよく手を洗う(特に排泄の後、食事の前)

のが感染を防ぐために重要です。
手を洗う時はせっけんと流水で時間をかけてしっかりと洗うようにしましょう(関連記事)。
下痢や嘔吐がひどい時期に学校や職場に行くとそこで感染を拡げてしまう心配があるので2〜3日経って、ある程度回復するまでは欠席することが望ましいでしょう。


 感染者がオムツをしている乳幼児の場合は、オムツを替えるときにできるだけ便で手を汚染しないように、そしてオムツ替えの後はしっかり手を洗うように気をつけましょう。


Q5 感染性胃腸炎にならないために気をつけることとは?

 感染性胃腸炎の病原体が体内に入る最も重要な経路は、汚染された食品を食べてしまうことです。


 動物の肉は、処理の過程で感染性胃腸炎の原因病原体が付着する可能性があります。
これを防ぐためのさまざまな工夫はなされておりますが、完全な防止は困難であり、生肉の食事をした場合は感染性胃腸炎の発症の危険はゼロではないと考えるべきでしょう。
病原体が付着した肉類も、十分に火を通せば病原体は死滅して感染の危険はなくなります。


 日本では一般に食されている生の魚介類(寿司、さしみなど)は、諸外国では 、腸炎ビブリオによる感染性胃腸炎や寄生虫感染のリスクを増加させるものと考えられています。
また、同様に、生卵、半熟卵は、サルモネラによる感染性胃腸炎の原因となりうるものと認識されています(CDC; What foods are most associa ted with foodborne illness? )。
しかし、これらの生食は日本では食文化として定着しており、流通の際の安全基準も海外と日本で異なっていることもあり、 判断は各人に委ねられています。
もちろんこれらの食品も十分に加熱することで、より安全に摂取できることに変わりはありません。


 野菜や果物は生での消費が多く、本来はこれらの病原体が付着する危険がないはずの食料です。
ところが生産・流通過程、あるいは購入後に生の肉類・魚介類や動物の糞便などと接触すれば、病原体が付着してしまうことがあります。
これを交差汚染と呼びます。
生産・流通過程で、そのようなことがないかについては 、厚労省が実態調査を行っています。生の肉類・魚介類を生の野菜や果物と接して置いたり、同じまな板で調理をしたり 、生の肉類・魚介類の汁が調理中に飛び散ったりということがあると、家庭でも交差汚染は起こり得ます。


 細菌の増殖を防ぐために食品は冷蔵庫 ・冷凍庫で保存して、調理した後も室温で長時間(2時間以上、夏場の暑い時期は 1時間以上)放置することは避けるのが望ましいです。
もちろん調理に入る前、食事前などにしっかりと手を洗うことも重要です。


 厚労省の「食中毒に関する情報」のウェブサイトにも「2. 家庭でできる食中毒予防」として情報が掲載されておりますので併せてご参照ください。


食事を介して感染性胃腸炎にならないためのアドバイス肉はしっかり火を通してから食べる食品は冷蔵庫、冷凍庫で保管し、肉汁や魚などの水分が漏れないように注意する調理した後も室温で2時間以上 (夏場は1時間以上)放置しないトイレ・ オムツ替えの後、ペットに触れた後、調理や食事を始める前などには入念にせっけんを用いて手を洗う生肉、生魚は他の食材と分けて扱う生肉、生魚、野菜・果物で包丁やまな板を使い分ける(あるいは生もので使用後は水で洗浄した後に熱湯で消毒する)生野菜や生の果物は食べる前によく洗う安全性を高めたい場合は卵、魚介類も十分に加熱してから食べる

妊婦や免疫力の低下している患者は、 食事を介してリステリアという細菌に感染して重症の感染症をきたす危険が高いことが知られています。


 生の肉類はリステリア感染の原因となりますので避けるべきですし、調理されている場合も、十分に火が通っているかどうか注意しましょう。


 このほか、加熱殺菌していないナチュラルチーズ、肉や魚のパテ、生ハム、スモークサーモンなどがリステリア感染の主な原因食品で妊娠中は食べることを避けた方が良いと厚労省の「妊娠と食事」 のウェブサイトにも記載されています。
なお、このウェブサイトには妊娠中の魚の摂取に関すること、そして赤ちゃんの粉ミルクを調整する時の注意事項など、重要な情報が掲載されておりますので妊娠されている方、妊娠を予定されている方は是非目を通しておいてください。


今回のまとめ感染性胃腸炎は基本的には水分、塩分、糖分を補給して脱水状態になることを防ぎながら自然に治るのを待つ病気です。
感染性胃腸炎のほとんどはノロウイルスなどのウイルスが原因なので抗生物質による治療が必要になること は多くはありません。
乳幼児や高齢者、 持病のある方は重い脱水状態に陥りやすいので特に注意してください。
脱水症状がある、嘔吐がひどくて水分摂取ができない、便や吐物に血が混じっている、下痢が3日間以上持続する、強い腹痛がある、ぐったりした感じがとても強いなどの場合は受診が勧められます。
周りの人に感染性胃腸炎をうつさないために感染している人も、周囲にいる人もよく手を洗うようにしましょう。
普段から食品、特に生で食べる食品の扱いに気を配りましょう。

(文/原田壮平=東邦大学 医学部微生物 ・感染症学講座助教)


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冬将軍の到来で風邪をひく人が増える今日このごろ。
早く治したいのはヤマヤマですが、お医者さんからもらった薬をう っかり飲み忘れたりすることもしばしば。
こんな場合、例えば食後でなくても飲んじゃっていいものなのか。
慶應義塾大学薬学部の中島恵美教授にうかがいました。(web R25)

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「そうですね、食後に飲むお薬の場合、 飲み忘れに気づいたのが次の食事の6時間前でしたら、その時点で飲んでしまってけっこうです。それを過ぎて次の服用時間が迫っていれば飲むのをパスした方がいいですね」


なるほど。
先生いわく「1日3回飲む薬は服用間隔を最低4時間」「1日2回飲む薬は服用間隔を最低6〜8時間」それぞれあけるというのが目安だそう。
つまり、いずれにせよ「6時間」あいていればOKってことですね。


ところで、お薬を飲むタイミングって「 食前」「食後」などなどいろいろありますけど、これはどういう基準で決まってるんでしょうか。
食後のお薬を食前とか、食事抜きで飲んでしまっていいもの?


「だいたいお薬を飲むタイミングは『食前』『食後』『食間』『寝る前』『頓服』の5パターンあります。中でもわかりにくいのが『食間』でしょうか。これは食事と食事の間、前の食事から2〜3時間後に飲む薬です」


食間=食事中のことだと思ってました… 。
つまり「食間」の薬は、胃の中に何もない状態で飲むとよく効く薬ってことなんでしょうか。


「そうです。薬の服用時間というのは、 そのお薬がもっとも効くタイミングで決められています。なかでも食後が多いのは、薬の成分で食道や胃腸が荒れるのを防ぐ目的もありますが、単に『飲み忘れ 』を防ぐ目的で設定されているものが少なくないんですよ」


確かに食間とかうっかり忘れそうですもんね。
と言っても、食後すら忘れちゃうこともあるんですが…。
飲み忘れを防ぐ薬ってできないですかねえ。 (熊山 准) (R25編集部)


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タイマー付お買得オイルヒーター
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関西電力が管内 に10%以上の節電を要請し、厳しい寒さが続くなか 、欧州で普及している暖房器具オイルヒーターの売れ行きが好調だ。
電力不足から消費電力の高いオイルヒーターは敬遠されるとして、仕入れを調整する動きが強かった家電販売店では、思わぬ人気に大慌てだ。
メーカーが省エネ機能を高めたほか、室内の空気への影響が少ないことなど、本来の機能が見直されているようだ。
また、「消費者が暖房器具を上手に使って、節電している」との見方もある。(産経新聞)

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オイルヒーター最大手のデロンギ・ジャパン(東京都千代田区)は、通常運転より2割程度電力消費を抑えるエコ運転モードを搭載した新機種を昨夏に発売し、売り上げは前年を上回るペース。
専門商社、山善は節電を見越し、オイルヒーターの発注をほぼ前年並みにしていたが、すでに完売や品薄状態という。


火災や、やけどなど危険性が少なく、空気も汚さないオイルヒーターは、安全性を重視する高齢者や子供を持つ家庭から人気が高い。


家電量販店の上新電機でも、オイルヒーターが売り切れとなる店舗が出た。
空気が乾燥する冬場は、エアコンと加湿器や空気清浄機を同時に使う家庭も少なくないため、「オイルヒーター1台分(約1500ワット)と消費電力は大差ないと判断されたのでは」(同社広報)と分析する。


ヨドバシカメラマルチメディア梅田( 大阪市北区)でもオイルヒーターの販売台数は前年度比数十%増で推移。
売り上げが前年の2倍となる日もある。
節電性能の高い5万円台のオイルヒーターは「 既に品切れ状態」だという。


調査会社のGfKジャパン(東京都中野区)によると、オイルヒーターの平成23年の売り上げ台数は前年比25%増となった。


これに対し、りそな総合研究所の荒木秀之主任研究員は「長引く電力不足で消費者は節電に慣れており、消費電力が大きい暖房器具を長時間使うとは考えにくい」と指摘。
業界関係者は「使用時間を制限するなど使い方を工夫している可能性は高い」と分析した。







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スマートフォン・ユーザーのストレスが高じると、“ファントム振動”(着信バイブがあったという錯覚)を感じるように なることがある——最新の研究がそう示唆している。

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英国ウースター大学の心理学者リチャード・ボールディング氏は、就業者と学生のボランティア100人を対象に計量心理学テストを行い、スマートフォンを頻繁にチェックする人は心理的ストレスを感じがちであることを発見した。


このことは、スマートフォンが仕事に使われている場合に特に当てはまった。
ユーザーが、ワーフクローについていくためにメッセージをチェックしなければというプレッシャーを感じているからだ。


ストレスが高じると、ビジネス・ユーザーはますます頻繁にスマートフォンをチェックするようになり、実際にはアラ ートを受信していないのに、受信したと勘違いするようになった人も数人いた。


先週発表されたこの研究結果は、職業にかかわらず当てはまるもようだ。
スマ ートフォンを仕事のために幅広く利用することが、こうした傾向が観察されたビジネス・ユーザーの共通要素だった。


英国Press Association(PA)は、「スマートフォンは急速に利用が拡大してお り、これに伴ってソーシャル・ネットワーキングによるストレスも増加するだろう」というボールディング氏のコメントを紹介している。


「原因が何であれ、従業員がストレスを感じていると、企業は成功しない。このため、従業員に、スマートフォンのスイッチを切り、業務時間外に送る仕事用のメールを減らし、デバイスをチェックしたいという誘惑を抑えるよう呼びかけることが、企業の利益にかなっている」 (ボールディング氏)


スマートフォンを業務時間外も仕事に 使うことは一般化しており、2009年に英国で行われたある調査では、個人のスマートフォンを業務時間外に仕事に使っていると答えた回答者が3分の1を占めた。
また、43%が、スマートフォンのせいでストレスが増えたと答えている。


1960年代に電話が家庭に普及して以来 、技術を使うことに伴う煩わしさが増大している面もあり、このスマートフォンの問題はその極端なものと言える。 (John E Dunn/Techworld.com)


確かにスマホが出て便利にはなりましたが、使い過ぎによる、健康被害には気を付けましょう…


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関西電力は7日、今冬の節電要請に引き続き、春以降の節電要請を検討していることを明らかにした。
関電の原子力発電所全11基が2月20日以降、定期検査で停止するものの、再稼働のめどが立たず、電力需要がピークを迎える夏に火力発電所をフル稼働させなければならな い。
しかし、関電は今冬の電力不足に対 応するため、定期検査を遅らせて火力のフル稼働を続けており、「夏の火力のフル稼働に備え、需要の少ない春に定期検査をした方がいい」(首脳)と判断した 。(毎日新聞)

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関電は安全運転のために最低限の補修が必要となる火力の精査を進めており、 政府による安全評価(ストレステスト) の進捗(しんちょく)状況を踏まえ、最終決定する。
検査内容や設備によって、 定検は1週間から2、3カ月かかる。
原発の再稼働が見込めれば、春以降の節電要請は回避する方針。
ただ、細野豪志・ 原発事故担当相が6日、原発を運転開始 から40年で原則廃炉とするなどを柱とする法改正の方針を提示。
定期検査で停止中の関電美浜原発1号機(福井県美浜町、出力34万キロワット)が運転40年超で廃炉対象に含まれるうえ、法改正の国会審議と併せ、再稼働に向けた環境は厳しさを増している。


節電要請する場合、今冬の節電要請の期間を延長するか、4月以降に時期を改めるかは未定。


関電は現在、原発10基を停止しており、代替のため火力28基をフル稼働している。
3分の1は定期検査の時期を迎えていたが、フル稼働を維持するため、 今冬の節電要請終了日の3月23日以降に先送りした。
この間、相生火力2号機 (兵庫県相生市、同37.5万キロワッ ト)が昨年12月30日〜今年1月4日に故障停止し、一時的にフル稼働できなくなったこともあった。


関電は3月の供給力を2297万キロワットと想定。
4〜6月の最大電力は2100万〜2500万キロワット程度で 、春に節電要請しないまま、火力を定期検査で停止すると供給不足の恐れがあるとみている。
穏やかな気候の時期のため 、暖房や冷房利用による電力需要は少ない一方、前年比で節電する余地も小さい 。


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