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血液型がO型の人は、十二指腸潰瘍のできやすさが他の血液型に比べて1・4 倍であることを、東京大学医科学研究所などのチームが明らかにした。


科学誌ネイチャー・ジェネティクスに5日、発表する。


研究チームが、十二指腸潰瘍患者と健常者計約3万3000人の遺伝子の違いを調べたところ、血液型を決める遺伝子がこの潰瘍のできやすさに関係していることがわかった。
O型の遺伝子をもつ人は、日本人に最も多いA型に比べて1・43倍、この病気になりやすかった。
B型やAB型は、A型とほぼ同程度だったという。


血液型は、赤血球の表面にある物質で決まる。
共通の遺伝子でつくられる同じ物質が腸の粘膜にもあり、潰瘍の原因となるピロリ菌が付着する目印になっている可能性があるという。 〈読売新聞より〉

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花粉症の人にはつらい時期がやってきた。

薬を使い、何とか症状を緩和して過 ごす人も多いだろう。

ところが薬の中には、眠くなったり、脳の反応が鈍る「鈍脳」になったり、仕事や試験でのミスや 、交通事故を招く薬もある。



東北大学大学院医学系研究科教授(機能薬理学)の谷内一彦さんに、鈍脳の問題や薬の選び方などについて話を聞いた。(読売新聞( yorimo))

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■ 「眠くなる」と「効果がある」は無関係

「眠くなる薬は効く薬」——エスエス製薬のアンケートによると、67%の人がそう思っているという結果が出た。

本当にそうなのだろうか……谷内さんは、「 誤解されているのですが、眠くなる薬が効く薬ではないんです」と言う。

なぜ眠くなるのか。

それは、抗ヒスタ ミン薬の中には、脳の受容体に作用して 、意識レベルを低くしてしまうものがあるためで、花粉症などの症状を抑える効 果と別のものだ。

「眠くなる」というのは、花粉症のみならず風邪薬など鎮静性(眠くなる)抗 ヒスタミン薬を飲んだ時にも見られ、眠さを自覚しなくても、脳の働きが低下してしまう。

谷内さんは、こうした状態を 「鈍脳」と呼び、注意を呼びかけている 。


■ 「眠くなりにくい薬」の処方を

最近では、医師に処方してもらう薬では、鈍脳になりにくい抗ヒスタミン薬が大部分を占めてきている。

ただ、医師の中には、従来から使っているという理由で、眠くなりやすい薬を使い続けている医師もいる。

また、これまで市販薬は大部分が鈍脳になりやすいタイプだった。

しかし、昨秋には、第1類医薬品として、薬剤師がいる薬局なら扱えるようになった、「アレジオン10」が発売された。

「眠くなるようでしたら、かかりつけ医に眠くなりにくい抗ヒスタミン剤が欲しいと相談をしてみるのが大切です。同様に、市販薬の場合も薬剤師に相談すると良いでしょう」と、谷内さんはアドバイスしている。


■ 薬で「二日酔い」状態!?

「イギリスの例ですが、テストを受けるさいに、鎮静性抗ヒスタミン薬を飲んだ生徒は、それ以外の薬を飲んでいる生徒や、薬を飲んでいない生徒に比べ成績が悪かったというデータもあります」と谷内さん。

そうした鈍脳になる薬を飲むなら、「飲酒と車の運転と同様に、『仕事をするならこうした薬は飲まない。飲むなら仕事を休め』と、私は言っています」と啓発を続けている。

仕事の効率が落ちるだけではなく、さらに重大なのは交通事故につながる例もあることだ。

谷内さんは、鈍脳になりやすい抗ヒスタミン薬の影響について、各地に講演に呼ばれて注意を促すことも増 えてきたという。

また、警察庁もホームページで注意を呼びかけている。

さらに、鈍脳の状態は、「二日酔い」 と同様、翌日まで続くことがある。

「眠くなる薬だからと、寝る前に飲めば問題がないかというとそうではありません。 さらに、睡眠の質を悪くしてしまう作用もあるのです」。

眠くなるだけでは済まない「鈍脳」。

「薬は眠くなるもの」とあきらめず、薬選びに注意したい。 (文・写真 ヨリモ編集デスク 上伊沢 沖宏)


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国民の4人に1人が悩んでいる花粉症 。

一般的にはスギが花粉症の“犯人” とされるが、近年、原因は多様化しているという。

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「日本では『花粉症といえば春先』 と思い込んでいる人が多いですが、1人で複数の花粉アレルギーを持つ『多重花粉症』患者が急増しています」

と教えてくれたのは、アレジオ銀座クリニックの呉孟達先生。


「一度何らかの花粉症にかかると体内で他の花粉に反応する抗体ができやすくなり、別の花粉症も発症するおそれがあるんです。放置すると既存の花粉症が悪化するだけでなく、飛散時期の異なる別の花粉にもアレルギー反応を起こし、症状が長期化します。いまや花粉症は、春だ けでなく通年性の疾患になっているのです」


春先だけ我慢すればいいかと思ってたけど、そう甘くはないみたい。
では、スギのほかにどんな花粉症が存在するのだろう?


「現在多いのはヒノキ花粉。スギ花粉症患者の6割以上がヒノキ花粉症も併発しているといわれています。また、秋ごろに飛散するブタクサやヨモギ、イネ科のカモガヤ、ハルガヤ、チモシーなどの花粉症も多いです。国内だけでも60種以上の花粉症が存在しています」


いつ多重花粉症になってもおかしくない環境というわけだ。
さらに、花粉症の人はほかのアレルギー症状にも注意が必要だという。


「多重花粉症は口腔アレルギーとリンクしています。例えばシラカバ花粉症の人は、似た抗原をもつリンゴやモモを食べると口や喉にじんましんが出ます。最悪の場合、命にかかわることも。また、幼いころにホコリやダニなどでアレルギー症状が出ていた人は、花粉症を発症しやすくなります」


花粉症に限らず、一度何らかのアレルギー症状が出ると、ほかのアレルギー症状も出やすくなるわけだ。
幸いにしてまだ発症していない人は、体内に花粉を取り込まないよう気をつけよう。 (web R25)


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30代、40代のビジネスパーソンを中心に、糖尿病や高血圧、メタボ、皮膚トラブルなどについて専門家に解説をしてもらう連載。
この季節は「カゼでお腹を壊している」という話をよく耳にします。 ところがこれはいわゆる「カゼ」ではなく、「感染性胃腸炎」だと、知っていましたか? 東邦大学医学部微生物・感染症学講座助教原田壮平先生に「感染性胃腸炎」を解説してもらいます。(nikkei TREN DYnet)

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「お腹のカゼ」、感染性胃腸炎の病原体の一つには腸管出血性大腸菌も!


「今朝から微熱があって、お腹も下していて、何回もトイレに行っているんですよ…」


冬場はこのような「お腹のカゼ」の症状で病院を受診する人が多くなります。
正確には「カゼ」は鼻、のど、咳などの呼吸器系の症状を主体とする感染症に対して用いられる用語で、いわゆる「お腹のカゼ」は「感染性胃腸炎」と呼ばれます。


2011年には生肉の食事が原因となった腸管出血性大腸菌の感染症の集団発生事例(厚生労働省・関連情報)が大きく報道されましたが、この腸管出血性大腸菌も感染性胃腸炎を起こす病原体の一つです。


今回は「感染性胃腸炎」について日常生活や食事との関連、かかったときの対応、代表的な病原体の特徴などを中心に解説します。


Q1 感染性胃腸炎ってどんな病気? どんな人がどうやってなるの?

熱とともに吐き気・嘔吐、下痢、腹痛などが始まるというのが感染性胃腸炎を疑わせる症状です。感染性胃腸炎は「感 染性」の名が示す通り、胃腸に病気を起 こす性質を持ったウイルスや細菌に感染 することにより発症します。

これらの病原体は、食事を介してヒト の体内に入ることが多いのですが、すでに感染している人の便や吐物に含まれている病原体が、本人の手や生活環境を介して周りの人の手に付着し、それを口に 入れてしまうことでヒトからヒトへと感染する場合もあります。
特に後述するノロウイルスやロタウイルスでは、これも重要な感染経路となります。

ほかに、珍しい例としては、ペットが持っている細菌が飼い主の手を介して口に入り、感染性胃腸炎や重症の感染症を起こすこともあります。
カメ、イグアナなどの爬虫(はちゅう)類はサルモネラという感染性胃腸炎の原因となる病原体を持っていることが多くあります。
実際に感染事例が国内でも報告されており、ペットに触れた後は十分に手を洗うように、厚労省からの注意喚起も出ています (厚生労働省・関連情報)。

レストランやパーティーなどで、病原体が付着した食べ物を多くの人が食べたり、最初に感染した人から周りの人へと感染が拡がるなどして、感染性胃腸炎が集団発生する場合があります。
集団発生の際に、保健所や地方衛生研究所などの公的機関が立ち入り調査を行ったという報道を耳にされたことがあると思いますが、これは原因となった食事を特定したり、感染拡大の経路などを解析したりし て、それ以上の患者の発生を食い止めるための対応です。

潜伏期間は1〜3日程度、毎年11〜3月頃に発生頻度上昇

病原体がヒトの体内に入ってから実際に症状が出るまでにはしばらく時間がかかり、これを潜伏期間と呼びます。
潜伏期間は病原体の種類や状況ごとに異なりますが多くの場合は1〜3日程度です。
よって感染性胃腸炎の発症の1〜3日以内に生肉(生焼けも含む)や生魚の食事をしていれば、その食事と発症との関連を疑いますが、実際は1例のみの発生ではきっかけとなった食事を特定するのはしばしば困難です。

※例外的に、細菌(黄色ブドウ球菌、セレウス菌など)が作る毒素によって起こる食中毒は、嘔吐や下痢(発熱はなし) の症状がきっかけとなった食事から6時間以内に起きますが24時間以内に特別な治療を必要とせずに治癒します。
指定された医療機関で、感染性胃腸炎の診断を受けた患者の数を週ごとに集計することで、国内の感染性胃腸炎の流行状況が確認されています。
国立感染症研究所の感染症情報センターのウェブサイトにはこの集計結果のグラフが示されており、毎 年11〜3月頃に発生頻度が高くなり、中でも12月頃にピークがみられています。
感染性胃腸炎の集団発生事例もこの時期に報告数が多くなります。

 なお、海外、特に亜熱帯・熱帯地域では、日本ではさほどみられないような病原体が感染性胃腸炎の原因として頻繁にみられます。
そのため、このような地域を旅行し帰国してから後に、特殊な病原体による感染性胃腸炎を発症する場合が あります。
そのような場合は、医療機関での検査や治療などの対応が変わり、時には専門医療機関の受診が必要な場合もあります。
熱や下痢で病院を受診する時には、最近3カ月間くらいの海外旅行の有無と旅行先についても担当医に伝えましょう。


Q2 感染性胃腸炎の原因となる病原体に はどんなものがある?

成人の感染性胃腸炎の原因となる病原体としてはウイルスではノロウイルスが、細菌ではサルモネラ、キャンピロバクター、腸管出血性大腸菌(O157など)、 腸炎ビブリオなどが比較的頻度が高いものです。
これらの他に小児の感染性胃腸炎ではロタウイルスというウイルスも重 要です。

原因となる病原体ごとに症状に多少の違いはあるのですが共通する症状も多く、症状だけで原因となった病原体を特定することはできません。
よって医師が必要と考えた場合は患者の便を採取し、培養検査を行って原因となった細菌を特定します。

 ロタウイルス以外のウイルスは、特殊な検査を行わなければ検出することができませんので、通常は検査の対象にはなりません。
一般には細菌による感染性胃腸炎の方が、ウイルスによるものよりも熱が高く、症状も強い傾向がありますので「比較的軽症であった場合」や「症状が重くて便培養の検査をしたけれど原因になる細菌が見つからなかった場合」にウイルスによるものだったと推測します。
実際には感染性胃腸炎のほとんどはウイルスによるものなので病院で検査を受けても原因となった細菌が判明するのは1割にも満ちません。


ここでいくつかの重要な原因病原体について解説します。


    【ノロウイルス】

ノロウイルスの名前はお聞きになったことがある人も多いと思います。
ノロウイルスは感染性胃腸炎の原因病原体の中でもっとも頻度の高いものの一つです。


1. 汚染されていた二枚貝を生あるいは十分に加熱調理せずに食べる

2. 食品調理者 (家庭内あるいは飲食店など)が感染している場合にその人の手を介して汚染さ れた食物を食べる

3. 感染者の糞便や吐物に手を触れてしまい、その手を口に持って行ってしまって感染する


この3経路がノロウイルスの主な感染経路ですが、吐物から舞い上がった、目に見えない小さなしぶきに含まれるウイルスを吸入して感染したと思われる事例も報告されています(ノロウイルスの感染経路・国立感染症研究所感染症情報セン ター)。


感染してから発症までの潜伏期間は1〜2日程度で、最初に吐き気・嘔吐が起こり、その後に腹痛、下痢、頭痛や筋肉痛などの全身の症状が続きます。
半分くらいの患者で発熱もみられます。
通常は特別な治療なしに2〜3日で治ります。


ノロウイルスは感染性胃腸炎を起こす病原体の中でも特に感染力が高く、集団発生が起きたり、家族内で感染が拡がったりする危険が高いと考えられます。
実際に2009年の日本での感染性胃腸炎の集団発生事例のうちの27.5%(患者数でいうと53.7%)はノロウイルスが原因でした(厚生労働省・ノロウイルスに関するQ&Aより)。
また、患者が一人発生したときに、家族内や密接な接触で新たに別の患者が発生する確率は30%以上にのぼります。


ノロウイルスはアルコール消毒では取り除きにくいのも厄介な点です。
家族内でのノロウイルスの拡がりを防ぐためには後に述べるような、感染性胃腸炎の療養の際の一般的な注意に加えて、患者の吐物や糞便の処理に際してはマスク、手袋、使い捨てエプロンを使用し、消毒に塩素系消毒薬を用いること、適切な換気を行うことが勧められています。
詳細は 厚生労働省の「ノロウイルスに関するQ&A」のウェブサイトのQ19をご参照ください。


     【ロタウイルス】

ロタウイルスは乳幼児の感染性胃腸炎の主な原因となり、毎年冬から春にかけて流行します。

 特別な治療なく自然に治りますが、特に生後3カ月から3歳までの間に感染すると嘔吐や下痢により脱水状態となって入院治療を要するような状況がしばしば生じます。
以前に秋田県で行われた調査に基づく試算では子供の15人に1人は5歳に なるまでにロタウイルスによる胃腸炎で入院すると予測されました(Nakagomi T et al. J Infect Dis 2005; 192: S106)。


2011年、日本でもロタウイルスの感染を予防するためのワクチンが使えるようになり、任意接種という形で希望者への接種が始まっています。


標準的には生後2カ月頃〜6カ月頃の期間に2〜3回飲むワクチン(ワクチンの製品により投与スケジュールが異なります)ですので、今後出産を予定されている場合は主治医にご相談ください。


【腸管出血性大腸菌(O157など)】

腸管出血性大腸菌は大腸菌という細菌の一種です。
大腸菌は名前の通りヒトの大腸内に存在するありふれた細菌で、腸の中にいても普通は病気を起こすことは ありません。
腸管出血性大腸菌は、腸炎を起こす能力を獲得した特殊な大腸菌を指します。


腸管出血性大腸菌の中では「O157」という名前のものが最も有名で、他にも「O 111」「O26」などが類似の病気を起こす場合があります。


 名前の通り、血が混じる下痢をきたす頻度が高いのが特徴で、発熱はみられない場合もしばしばあります。
よって熱がない場合でも、急に血が混じる下痢が始まった場合には、早急に病院を受診しましょう(この症状だけで腸管出血性大腸菌の感染症と断定はできませんので必要な検査をします)。


 腸管出血性大腸菌の感染症の最大の問題は発症者の約10%で下痢の発症から5〜 10日後頃に、溶血性尿毒症症候群や脳症という重大な合併症を起こすことで、時に後遺症を残したり死に至ったりする場合があります。


 O157は健康な牛の腸の中に10%程度の割合で存在しているので、販売前の準備の段階で牛肉にこの菌が付着する可能性があり、O157が付着した牛肉を、十分に火を通さずに食べると感染症が起きる危険があります。
また生野菜などのほかの食品も生産・流通過程などで牛などの排せつ物などで汚染されれば感染源となる 可能性があります。
日本では1996年の大阪府堺市などでのO157感染症の大規模集団発生事例などを背景に、O157感染症の発生を防ぐための食品の生産、流通過程における多面的な対策を行っています( 厚生労働省・腸管出血性大腸菌Q&Aより)。
それでもなお生肉に腸管出血性大腸 菌が付着している可能性は0ではありませんので、腸管出血性大腸菌の感染症の後に合併症を起こしやすいと報告されている、10歳未満の小児や体力の低下している高齢者、持病のある人、妊婦などは、生肉や生焼けの肉を食べることに関しては、特に慎重に考えるのが良いと考えています。


 O157もノロウイルスと同様に感染力が高いためにヒトからヒトへの二次感染が起こり得ます。
感染した場合には本人や同居家族は普段以上に入念な手洗いを心がけてください(厚生労働省・腸管出血性大腸菌Q&Aより)。


 2011年、ドイツやその他のヨーロッパの国々で、O104という型の腸管出血性大腸菌による感染症の大規模な集団発生が見られました。
O104による感染症は先に述べた重大な合併症の発症率が約25%と高く、原因となった食材も当初は不明であったために現地では大きな波紋を呼びましたが、調査の結果ドイツ産の新芽野菜が原因食材であったと確認されました (Frank C et al. N Engl J Med 2011; 365: 1 771, Buchholz U et al. N Engl J Med 2011; 365: 1763)。


 今回のO104の集団発生は日本では問題をもたらさなかったものの、人の移動や物品の流通が世界規模で行われている現代において、日本に住む人もこのような海外で発生した感染症の集団発生に巻き込まれる可能性は常にあります。


Q3 感染性胃腸炎になった時は病院で治療を受けた方がいい?

感染性胃腸炎で最も気をつけなくてはならないこと⇒ 嘔吐や下痢を繰り返した結果、脱水状態になること感染性胃腸炎の治療⇒ 脱水にならないための水分補給(必要な場合は薬を使う時もある) 医師が感染性胃腸炎の患者を診るときに最も心配していることは、嘔吐や下痢がひどいために、脱水状態に陥って体調を崩してしまうことです。


 開発途上国ではいまだに多くの人が感染性胃腸炎で命を落としていますが、これは脱水の時の水分の補給が不十分なことが主な原因です。
日本では感染性胃腸炎による脱水で命を落とすことはまれですが、適切に治療しないと、特に乳幼児や高齢者などは大きく体調を崩す可能性があります。
逆に言うと、家で十分に水分を取って脱水を防ぐことができるなら ば、病院で治療を受ける必要性はさほど高くありません。


 脱水症状が強い場合は点滴による水分補給が必要な場合もありますし、重症の場合は数日間入院での水分補給が必要な場合もありますので病院の受診が勧められます。
特に乳幼児や高齢者は脱水がひどくなりやすいので注意してください。 「尿の回数・量が目立って減る」「口やのどがひどく渇く」「立ち上がった時にふらつく」などが重症の脱水を疑う症状です。
嘔吐がひどくて水分摂取が困難な場合は結果的に脱水に陥る可能性が高いので要注意です。


 また、脱水症状がひどくない場合でも、便や吐物に血が混じっていたり、下痢が3日間以上持続したり、強い腹痛がある場合、ぐったりした感じがとても強い場合は、細菌による重症の感染性胃腸炎の場合がありますので、受診が勧められます。
また、感染性胃腸炎以外の重症の感 染症や他の胃腸の病気で熱と下痢が出ることもあるので症状が重い場合はあなどらずに病院に行くことが重要です。
熱、嘔吐、下痢がある時に病院への受診を勧める状況38℃を超える高熱を伴う便や吐物に血が混じっている水が飲めないほどひどい嘔吐が続く尿の回数・量が目立って減る、口やのどがひどく渇く、立ち上がった時にふらつくなどの脱水症状がある下痢が3日間以上続く強い腹痛があるぐ ったりした感じが強い持病や治療薬の影響で免疫力が低下している腎臓病など内臓の大きな病気を持病に持っている※これら以外にも高齢者や乳幼児は脱水状態になりやすいので要注意外来で行う点滴に含まれている栄養の量は微々たるもの


 感染性胃腸炎の患者が受診したとき、 医師は「原因の病原体をつきとめるか? 」「治療をどうするか?」の2つを検討します。


 患者が重症である、あるいは感染性下痢症の集団発生が疑われるなど原因の病原体を突き止める意義が大きいと考えた場合には、患者さんの便を培養して病原体の検出を試みます。
便の培養検査は、 最終結果を得るまでに3〜4日以上を要します。
前述のように培養検査ではウイル スは検出できないので、検出対象はサルモネラ、キャンピロバクター、腸管出血性大腸菌などの細菌です。
重症の場合はさらに通常の血液検査や血液の培養検査も追加する場合もあります。


 治療は脱水を防ぐための塩分、糖分を含んだ水分の補給が主です。
可能な場合は家で口から水分しっかり取るように説明し、受診したときに脱水状態が強いと判断したときは点滴での水分補給を行う場合もあります。
点滴をすると栄養が補給されて治りが早くなるような気がしますが、あくまで口から水分が取れないときの水分補給の非常手段とお考えくださ い。
実際に病院の外来で行う点滴に含ま れている栄養の量は微々たるものです。


 感染性胃腸炎で抗生物質を使っての治療が必要になることはあまり多くはありません。「カゼ」の解説でも触れましたように、ウイルスが原因となっている病気に抗生物質はまったく効果がなく、そして感染性胃腸炎の原因病原体は、ほとんどの場合でウイルスだからです(そして感染性胃腸炎を起こすウイルスを退治する薬もありません)。
それどころか飲み薬の抗生物質の副作用として下痢になってかえって治りを遅くしてしまう場合すらあります。


   抗生物質を使用する状況としては

1. 最初に受診したときに脱水症状がひどいなど重症である

2. 新生児や高齢者など重症になりやすい患者である

3. 便培養検査の結果から細菌による感染性胃腸炎と判明して、なおかつ抗生物質での治療が必要と判断される(細菌による感染性胃 腸炎でも多くの場合で抗生物質による治療がなくとも治癒します)

4. 熱帯・亜熱帯地域への旅行後に発症していて特殊な病原体が想定される

場合などに限定されます。


 下痢止めを使用するかどうかは感染症胃腸炎の時は慎重に判断する必要があります。
下痢を止めることで原因となって いる病原体を体外に排出するのを遅らせてしまう可能性があり、さらに腸管出血性大腸菌が原因の場合には下痢止めを使用することで重症の合併症を併発する危険を高めうるといわれているからです(C imolai N et al. J Pediatr 1990; 116: 589) 。
医師や薬剤師に相談せずに家にある下痢止めを内服するのはやめましょう。


Q4 感染性胃腸炎になった時は、家でどのように過ごせばいい?

感染性胃腸炎になって家で療養しているときに気をつけること脱水状態にならないように水分、塩分、糖分を補給する栄養をその時にとれる方法でとっておく周りの人にうつさないようにする繰り返しになりますが、感染性胃腸炎で最も心配なのは脱水状態になることなので、それを避けるために水分、塩分、糖分を補 給して下さい。


 水分補給は口から飲むのが基本です。
「下痢がひどいときに水分をたくさん取ったらさらに下痢がひどくなるんじゃないか?」とよく聞かれますが、感染性胃腸炎になっていても、ほとんどの場合で腸の水分の吸収能力は保たれているので 、口から水分を取ることが治療の基本になります。


 口から取った水分を腸から吸収して体の中に保つためには、水と一緒に適度な塩分と糖分を取る必要があります。
真水やお茶だけでは塩分や糖分を含まないので不十分です。
軽症の時はスポーツドリンクを薄めて飲みつつ(そのまま飲むと糖分が濃いためにかえって下痢がひどくなる可能性があります。スポーツドリンクは推奨される組成よりも糖分が濃く、塩分が薄い)、塩つきのクラッカーを食べたり、スープを飲んだりして水分とと もにうまく塩分と糖分を補給してください。


 最近は薬局などで感染性胃腸炎の水分補給用に調整された飲料(経口補水液) も市販されているので症状が強い場合などはこのような製品もうまく利用すると良いでしょう。


 脱水状態を避けられたら次は栄養ですが、症状が強い最初の数日間は食欲も出ないことが多いので、スープ類や果物、おかゆ、うどんなどで少しずつでも栄養を取るようにして下さい(それでも点滴に含まれる栄養分よりははるかに多いです)。
感染性胃腸炎の療養中の食事には厳密な決まりはありませんが、脂肪分の多い食事は腸への負担が大きいので避けるようにしましょう。


  周囲にうつさないための過ごし方

療養中に家で他の人と一緒にいる場合はうつさないために気をつけましょう。
嘔吐や下痢がある間はそこに含まれている病原体が周りの人にうつってしまう可能性があります。
病原体が周りの人の手に付着してそれを口に含んでしまうとその人も感染してしまう恐れがあるので

1. 感染している人自身がよく手を洗う

2. 同居している人もよく手を洗う(特に排泄の後、食事の前)

のが感染を防ぐために重要です。
手を洗う時はせっけんと流水で時間をかけてしっかりと洗うようにしましょう(関連記事)。
下痢や嘔吐がひどい時期に学校や職場に行くとそこで感染を拡げてしまう心配があるので2〜3日経って、ある程度回復するまでは欠席することが望ましいでしょう。


 感染者がオムツをしている乳幼児の場合は、オムツを替えるときにできるだけ便で手を汚染しないように、そしてオムツ替えの後はしっかり手を洗うように気をつけましょう。


Q5 感染性胃腸炎にならないために気をつけることとは?

 感染性胃腸炎の病原体が体内に入る最も重要な経路は、汚染された食品を食べてしまうことです。


 動物の肉は、処理の過程で感染性胃腸炎の原因病原体が付着する可能性があります。
これを防ぐためのさまざまな工夫はなされておりますが、完全な防止は困難であり、生肉の食事をした場合は感染性胃腸炎の発症の危険はゼロではないと考えるべきでしょう。
病原体が付着した肉類も、十分に火を通せば病原体は死滅して感染の危険はなくなります。


 日本では一般に食されている生の魚介類(寿司、さしみなど)は、諸外国では 、腸炎ビブリオによる感染性胃腸炎や寄生虫感染のリスクを増加させるものと考えられています。
また、同様に、生卵、半熟卵は、サルモネラによる感染性胃腸炎の原因となりうるものと認識されています(CDC; What foods are most associa ted with foodborne illness? )。
しかし、これらの生食は日本では食文化として定着しており、流通の際の安全基準も海外と日本で異なっていることもあり、 判断は各人に委ねられています。
もちろんこれらの食品も十分に加熱することで、より安全に摂取できることに変わりはありません。


 野菜や果物は生での消費が多く、本来はこれらの病原体が付着する危険がないはずの食料です。
ところが生産・流通過程、あるいは購入後に生の肉類・魚介類や動物の糞便などと接触すれば、病原体が付着してしまうことがあります。
これを交差汚染と呼びます。
生産・流通過程で、そのようなことがないかについては 、厚労省が実態調査を行っています。生の肉類・魚介類を生の野菜や果物と接して置いたり、同じまな板で調理をしたり 、生の肉類・魚介類の汁が調理中に飛び散ったりということがあると、家庭でも交差汚染は起こり得ます。


 細菌の増殖を防ぐために食品は冷蔵庫 ・冷凍庫で保存して、調理した後も室温で長時間(2時間以上、夏場の暑い時期は 1時間以上)放置することは避けるのが望ましいです。
もちろん調理に入る前、食事前などにしっかりと手を洗うことも重要です。


 厚労省の「食中毒に関する情報」のウェブサイトにも「2. 家庭でできる食中毒予防」として情報が掲載されておりますので併せてご参照ください。


食事を介して感染性胃腸炎にならないためのアドバイス肉はしっかり火を通してから食べる食品は冷蔵庫、冷凍庫で保管し、肉汁や魚などの水分が漏れないように注意する調理した後も室温で2時間以上 (夏場は1時間以上)放置しないトイレ・ オムツ替えの後、ペットに触れた後、調理や食事を始める前などには入念にせっけんを用いて手を洗う生肉、生魚は他の食材と分けて扱う生肉、生魚、野菜・果物で包丁やまな板を使い分ける(あるいは生もので使用後は水で洗浄した後に熱湯で消毒する)生野菜や生の果物は食べる前によく洗う安全性を高めたい場合は卵、魚介類も十分に加熱してから食べる

妊婦や免疫力の低下している患者は、 食事を介してリステリアという細菌に感染して重症の感染症をきたす危険が高いことが知られています。


 生の肉類はリステリア感染の原因となりますので避けるべきですし、調理されている場合も、十分に火が通っているかどうか注意しましょう。


 このほか、加熱殺菌していないナチュラルチーズ、肉や魚のパテ、生ハム、スモークサーモンなどがリステリア感染の主な原因食品で妊娠中は食べることを避けた方が良いと厚労省の「妊娠と食事」 のウェブサイトにも記載されています。
なお、このウェブサイトには妊娠中の魚の摂取に関すること、そして赤ちゃんの粉ミルクを調整する時の注意事項など、重要な情報が掲載されておりますので妊娠されている方、妊娠を予定されている方は是非目を通しておいてください。


今回のまとめ感染性胃腸炎は基本的には水分、塩分、糖分を補給して脱水状態になることを防ぎながら自然に治るのを待つ病気です。
感染性胃腸炎のほとんどはノロウイルスなどのウイルスが原因なので抗生物質による治療が必要になること は多くはありません。
乳幼児や高齢者、 持病のある方は重い脱水状態に陥りやすいので特に注意してください。
脱水症状がある、嘔吐がひどくて水分摂取ができない、便や吐物に血が混じっている、下痢が3日間以上持続する、強い腹痛がある、ぐったりした感じがとても強いなどの場合は受診が勧められます。
周りの人に感染性胃腸炎をうつさないために感染している人も、周囲にいる人もよく手を洗うようにしましょう。
普段から食品、特に生で食べる食品の扱いに気を配りましょう。

(文/原田壮平=東邦大学 医学部微生物 ・感染症学講座助教)


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冬将軍の到来で風邪をひく人が増える今日このごろ。
早く治したいのはヤマヤマですが、お医者さんからもらった薬をう っかり飲み忘れたりすることもしばしば。
こんな場合、例えば食後でなくても飲んじゃっていいものなのか。
慶應義塾大学薬学部の中島恵美教授にうかがいました。(web R25)

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「そうですね、食後に飲むお薬の場合、 飲み忘れに気づいたのが次の食事の6時間前でしたら、その時点で飲んでしまってけっこうです。それを過ぎて次の服用時間が迫っていれば飲むのをパスした方がいいですね」


なるほど。
先生いわく「1日3回飲む薬は服用間隔を最低4時間」「1日2回飲む薬は服用間隔を最低6〜8時間」それぞれあけるというのが目安だそう。
つまり、いずれにせよ「6時間」あいていればOKってことですね。


ところで、お薬を飲むタイミングって「 食前」「食後」などなどいろいろありますけど、これはどういう基準で決まってるんでしょうか。
食後のお薬を食前とか、食事抜きで飲んでしまっていいもの?


「だいたいお薬を飲むタイミングは『食前』『食後』『食間』『寝る前』『頓服』の5パターンあります。中でもわかりにくいのが『食間』でしょうか。これは食事と食事の間、前の食事から2〜3時間後に飲む薬です」


食間=食事中のことだと思ってました… 。
つまり「食間」の薬は、胃の中に何もない状態で飲むとよく効く薬ってことなんでしょうか。


「そうです。薬の服用時間というのは、 そのお薬がもっとも効くタイミングで決められています。なかでも食後が多いのは、薬の成分で食道や胃腸が荒れるのを防ぐ目的もありますが、単に『飲み忘れ 』を防ぐ目的で設定されているものが少なくないんですよ」


確かに食間とかうっかり忘れそうですもんね。
と言っても、食後すら忘れちゃうこともあるんですが…。
飲み忘れを防ぐ薬ってできないですかねえ。 (熊山 准) (R25編集部)


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